- 感想「国宝」 -

感想「国宝」

執筆: ろむ 公開日:2025年8月30日

こんにちは。ろむです。

タイトルの通り、映画を観てきました。小説は読んでいませんので正確な感想かはわかりませんが。

結論から申し上げますと非常に面白かったです。あ、ネタバレも含まれますのでご注意を。

簡単な流れとしては、正統派の歌舞伎の血筋の人と、世間からの爪弾き者、だけれども才覚ある人が登場し、彼らは女形を極めていき、やがては爪弾き者が紆余曲折ありながらも人間国宝になるまで、といった流れでしょうか。

わたくしは歌舞伎を見たことがなく、知っている話も大雑把に曽根崎心中を知っている程度で、浅いも浅い。

けれども、演者の方の歌舞伎の完成度は間違いなく素晴らしいものだと感じましたし、歌舞伎としても真に迫る演技に心を動かされました。魂がこもっているってこういうことなんだろうな、と思いました。

そして、演目が物語を色づける機能としても働いており、曽根崎心中の話が特に印象深いです。お初を演じる俊介は糖尿病の悪化により片足は壊疽した状態で舞台に立ちます。もはや演技は無理な体にむち打ちながら往年より望んでいたお初を演じることは、もはや歌舞伎との心中であるように思えます。

演目中、縁の下に隠れた徳兵衛がお初の足にすがりつくシーンがあるのですが、徳兵衛演じる俊介もまた、彼の残る右足もほとんど壊疽した足を見、涙ながらにすり寄るという描写となって歌舞伎は純粋な演目としてのシーンだけでなく、彼らの心情を表現する機能も持ち合わせているのです。

さらには、歌舞伎を本格的に初めた頃、万菊というすでに人間国宝とされている女形の歌舞伎役者、つまり主人公にとって、雲の上のような先輩の演技を観るシーンがあるのですが、ここで万菊の「鷺娘」を観て、また、主人公が人間国宝となった後に演じるのもまた「鷺娘」であり、対比的?に描かれているのも、目指していた場所にたどり着いた感じがして、とてもよかったです。

余談ですが、エンドロールも歌舞伎の役者紹介のように、縦書きで演出されていて、最後までこだわられているんだと感じました。

以上

No Script

- JavaScriptをONにしてください😿 -